凸と凹「登録先の志」No.3:会沢裕貴さん(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン 国内事業部 業務調整員 兼 レスキュー隊員)


「大好きな地元のまちなのに、何もできなかった悔しさ…」が原点

私が生まれ育った茨城県の最北端・水府村(現・常陸太田市)は、当時から過疎化が進行していたので、私が小学校を卒業すると同時に廃校になることが決まっていました。

すべての授業が終わり、卒業式の前にしたことは、もう使わなくなる音楽室のオルガンを生徒たちで処分することでした。

当時、まだ使われていた焼却炉から立ち昇る白い煙を眺めながら感じた「大好きな地元のまちなのに、何もできなかった」という悔しさは、今でも忘れられません。

それ以来、「どうしたらまちが持続できるか」を考えるようになり、高校卒業後は茨城を離れ、新潟大学・大学院で都市再生やまちづくりを研究しました。

大学院修了後、まちづくりのコンサル、地元・茨城県の地域おこし協力隊、住民主体の社会変革の方法を広めるNPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンで働く中で、ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)に出会い、災害など厳しい環境の中でもまちを持続させる仕事に挑戦してみたい気持ちがあり、PWJに入職しました。


予期せぬ災害で、人生が変わってしまう人たちを助けたい

もしみなさんが、自分のせいではなく、予期せぬ外部の出来事で、突然自分の人生が左右されたらどう感じるでしょうか?

きっと、私が小学校の廃校の時に感じたように、「なぜ自分はこんな状況になってしまったのか」「なにかできなかったのか」と悔しい気持ちになると思います。

災害も、たまたまその地域に生まれ育ち、住んでいただけで、何も悪くないのに、突然多くの人の人生が大きく変わってしまうものです。

もし、みなさんの大事なご家族やご友人が同じような状況に直面したら、少しでも早く元の暮らしを取り戻し、人生を立て直してほしいと願わずにはいられないのではないでしょうか。

私たちも、みなさんと同じ気持ちでいます。私たちは、被災された方が少しでも早く人生を立て直せるように、災害が起きたらできる限り早く災害現場に駆けつけ、必要な支援を届け続けています。

私たちは、寄付を通して「参加」を促したいと思っています。お金を出して終わりではなく、災害が起きた時に助け合う「仲間」をつくっていきたいのです。


余力のある今だからこそやらないといけない…。日本の誰もが災害の当事者

私たちは、「凹と凸」を通じてご寄付いただいた方向けに、災害の現場から私たちが学んだ知恵を直接お伝えする研修会のような報告会をしたいと思っています。私たちが学んだ災害時の知恵を共有することで、いつかみなさん自身が被災した時に備えていただき、大事な人たちが被災した時にみなさんも適切な支援ができるようになってほしいと思っています。

例えば、ヘリで現場に行っても、車がなかったり、現地の情報がなかなかつかめないことがあるかもしれません。そんな時に、ご寄付をいただいたみなさんからの支援協力や情報提供があることで、より多くの方々へ支援を届けることが可能になるかもしれません。寄付を通して日本全国をネットワークしていくことで、いろいろな人がお互いを助け合える仕組みをつくり、ともに助け合う仲間になっていくことが次の目標です。

余力のある今だからこそやらないといけない…。そんな使命感を持っています。これだけ災害の多い日本だからこそ、みなさんと一緒に、「何かできなかったのか」という悔しい気持ちになるのではなく、「やれることはやった」と思える日本にしていきたいと思っています。

日本の誰もが災害の当事者なんだと思います。


取材者の感想

悔しさややるせなさをバネにしていける方だなというのが会沢さんにお会いしての第一印象でした。のどかな雰囲気が漂う広島県神石高原町よりも田舎な地域で育ち、小6のときの衝撃的な体験から「まちづくり」が一貫したテーマになっているという会沢さんの人生の物語を、もっと掘り下げて聴いてみたくなりました。

「災害大国・日本ではみんなが当事者だからこそ、一緒に考えていきたくて、知識や知恵を共有したいから、寄付を通して支援活動に参加してほしいんです」と力強く語る姿に、やさしい表情の中にも熱い思いを感じました。

会沢さんたちの取り組みを応援することが、自分自身や自分の大切な人の命を守ることにつながるんだと実感できる取材となりました。

そして、この取材をまとめているまさに今、2019年6月18日に山形県沖地震が発生し、新潟県村上市で震度6強を観測。私たちは当事者なんだということを痛感します。(長谷川)


会沢裕貴さん:プロフィール

認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン 国内事業部 業務調整員 兼 レスキュー隊員

茨城県北の過疎地域で生まれ育ち、衰退した地域を再生できないかと建築の道に進む。大学院修了後、商業施設とまちづくりの開発コンサル、地元茨城県北にて企業支援と大学生の教育を同時に行うインターンシップ事業の立ち上げ、NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンを経て、2018年4月よりピースウィンズ・ジャパンに入職し、ファンドレイジングや災害支援等を担当。工学修士(建築学)。准認定ファンドレイザー。




認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンは、凸と凹「災害支援プログラム」の登録先です。

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