凸と凹「登録先の志」No.11:荒金真美さん(NPO法人Chance For All コミュニケーション室 職員)


子どもたち一人ひとりの育ちを大切にしているところで働きたい


島根県出身で、父は小学校教諭、母は専業主婦という家庭で育ちました。地方で育った環境から「機会格差」を感じていました。キャリア教育に興味を持ち、大学は教育学部に進学しましたが、広く社会を見たいと思い、新卒では金融機関に就職しました。

ただ、「広く社会を見たい!」というモチベーションだけでは、就職してつらいことがあった時に乗り切ることができませんでした。「世の中にはこんなに多くの仕事があるのに、なぜこんなにしんどい思いをしないといけないのだろう」という気持ちになってしまい、就職して1年半で教育に関する事業会社に転職し、幼児教育向けの部署に配属されました。

10年くらい働いて、育休を取ったのですが、子どもを預けてまでまた同じ会社に戻りたいのだろうかと自問自答した結果、戻ることをやめてChance For All(以下、CFA)に入りました。幼児教育にかかわる中で、子どもたち一人ひとりの育ちを支援していくことや、それぞれの子の自己肯定感を育てることが重要なのではないかと思い、そういったことをより大切にしているところで働きたいなと思っていたので、そこがCFAとマッチしました。

育児との両立で時間的制約がある中で、CFAに通う子どもたちに会った時の印象が決め手になりました。当時CFAってなんとなくいいなと直感的に感じたことを、言語化していきたいと思っています。


子どもに対する一番のほめ言葉は「子どもらしい子ども」


CFAの子どもたちは「子どもらしい子どもだな」と感じました。きれいな言葉で取り繕ろうとしない子ども。「ぐりとぐら」の生みの親である中川李枝子さんの本『子どもはみんな問題児。』の中で、子どもに対する一番のほめ言葉は「子どもらしい子ども」というフレーズが出てきます。

私たちは学童保育を運営していますが、放課後がなぜ大切かというと、今、子どもが自由に遊べる空間がないからです。子どもたち同士で育ち合うことが難しくなっています。子どもが消費者になってしまっていて、キャリア教育などでもサービスの消費者になっているように感じています。

もっと踏み込んで言えば、子どもに対する見方がないがしろにされていて、大人の都合が優先されている印象があります。一方で、教育に興味を持っている人はすごく多いと思っています。子どもたちの置かれている今の状況をよいと思っていない人もたくさんいます。

CFAでは、子どもに対する見方や生きる力をすごく大事にしています。なぜそこを大事にできているかというと、子どもたち一人ひとりに正直に真っすぐ向き合っているからだと思います。


親が困れば困るほど、その厳しさは子どもに向かってしまう


社会がどうなったらCFAがなくなってもよいと思うかをCFAの先生と話した時に、「子育て世代に対する理解やまなざしがあたたかくならない限り、CFAは存在しないといけないと思っています」という話を聴いて、すごく共感しました。

親が生活などで困れば困るほど、その厳しさは子どもに向かっていく。だからこそ、みんなで見守ることが大切だと感じています。でも、子どもたちが今、地域や社会の中で育つ環境がありません。

社会が分断されていて、新型コロナウイルス感染症による一斉休校も、見せしめのように行われたと感じています。矛先は子どもに向かってしまいます。子どもは大人の影響をすごく受けて育つのに、配慮されません。実際にストレスを抱える子どもが増えている印象があります。

代表の中山先生がCFAに来ている男子のことで、「ばかやろう男子が壁を壊した」とSNSに投稿したことがありました。「ばかやろう」って愛がないと言えない言葉だと思っています。子どもたちに必要な非認知能力(※)を育てられるのは放課後の時間なんだと、CFAに来てから特に感じます。そうした能力の土台部分を育むのは子ども時代の経験です。そういった土壌をすべての子どもたちに広げるための活動を、CFAではマンスリーサポーターを募って実施しています。ぜひ応援いただけるとうれしいです。

※意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、 自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力。


取材者の感想


CFAに転職された際、職員募集をしていなかったにもかかわらず、転職に結びつけたというエピソードに、荒金さんの熱意が表れていると思いました。

荒金さんのお話を聴いて思い出したのが、私が学生時代にフィリピンでフィールドワークした時のことでした。フィリピンの幼稚園のようなところで、子どもたちに日本の遊びを教える活動をしていたのですが、最も印象に残っているのは、幼稚園の授業の前後に集まってきた近隣の子どもたちと過ごした時間でした。やんちゃな子も多く、一緒に遊ぶのもなかなか大変でしたが、そこで出会った子どもたちはまさしく「子どもらしい子ども」だったと感じています。

新型コロナの影響による社会のしわ寄せが弱い立場の子どもたちにいってしまいがちな世の中だからこそ、子どもたちの大切な時間を子どもたちのために取り戻そうとしているCFAの活動を応援したいです。(長谷川)


荒金真美さん:プロフィール


NPO法人Chance For All コミュニケーション室 職員

島根県松江市出身。大学卒業後、銀行を経て教育系事業会社へ。地方と都会の「経験の格差」や「情報の格差」を感じた自身の体験から、キャリア教育に興味を持つ。プライベートでキャリア教育に関するワークショップ等を実施するが、仕事で幼児教育に長く携わるうちに、一人ひとりが自分の可能性を信じられるようになることが大切なのではないかと思うようになる。出産を機に、本当に自分がやりたい仕事がしたい、より現場に近いところで直接的にこどもの未来に貢献できる仕事がしたいと思うように。そんな中でCFAに出会い、理念に共感し入社。




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